第13回目は、「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」のクルーたちが島根県各地を訪れた「お礼訪問」についてご紹介。訪問先の皆様やクルーらからのメッセージをお伝えします。
2017年6月に「瑞風」が運行を開始し、1年半以上が経ちました。沿線地域の方々は、「瑞風」のお客様を歓迎するさまざまな「おもてなし」に取り組んでくださっています。そんな皆様のもとへ、「瑞風」のクルーや瑞風バスの乗務員等が日頃の感謝を伝えに行く企画が「お礼訪問」です。
島根県内では、立ち寄り観光地への最寄りとして、松江駅、宍道(しんじ)駅、出雲市駅に停車し、地域の皆様にあたたかく迎えていただいています。また、温泉津(ゆのつ)駅、浜田駅などの沿線でも、旗を振ってくださったり、駅を花で飾ってくださったりと、歓迎を受けています。
そこで今年1月29日~31日の3日間、沿線の各所を訪問。「おもてなし」に協力してくださっている皆様と歓談をしたり、質問タイムやクイズの時間を楽しんだり、「瑞風」車内演奏家による演奏を披露したりと、さまざまな交流を重ね、クルーたちがお礼の気持ちを伝えました。参加された方々からのメッセージをご紹介しましょう。
「瑞風」とまちづくりの会 代表 持田康史さん
「瑞風」が宍道駅に停車するというニュースを聞いたとき、私は「宍道まちづくりの会」の会長職に就いたばかりでした。以来ずっと「瑞風」とともに歩んでいます。
今でも毎回、どんなお客様が来られるかなとワクワクしながら駅に向かいます。山陽・山陰周遊コースにおいて山陽方面からのお客様が山陰で初めて降りられる駅こそ、我らが宍道駅なんだとみんなで話し、明るい笑顔でお迎えしようねと気持ちを一つにしています。なかでも忘れられないのが、車椅子に乗られた高齢のお客様が、私たちに向かって両手を合わせてくださった場面。胸がジーンとしました。また、私の母は今年で97歳になりますが、毎回参加し、町内の皆さんと話せることも楽しみにしています。
今回のクルーの皆様とのあたたかな交流で、さらに心が通じ合ったと感じています。私も宍道町内の全訪問先に同行しましたが、宍道小学校での歌でのお迎え、しんじ幼保園での園児たちとのふれあい、すべてに感動。どんなときでも笑顔が大切だと、子どもたちからも教えてもらいました。
JR西日本 宍道駅 和田隆 駅長
昨年今年と、「お礼訪問」に関わってきました。そのなかで強く感じたのが、宍道町の方々の「瑞風」に対する愛情の深さです。実施にあたり「『瑞風』とまちづくりの会」の方々と訪問先や内容などについて会議を重ねましたが、参加している皆様の表情がキラキラと輝き、まるで学園祭の準備をしているようなワクワク感でいっぱいに。「瑞風」を自分たちの楽しみにしてしまうポジティブさが、宍道のパワーの源なんだと強く感じました。
ふだんは静かな宍道駅前が、「瑞風」が来る木曜の朝は活気にあふれ、小さいお子様からお年寄りまで「瑞風」とのふれあいに参加してくださる…。「瑞風」はグリーンの車体とともに、地方に活気という特別な風を届けてくれています。そしてその風は、「宍道は『瑞風』のまちなんだ」という誇りを与えてくれました。今後も心を込めた「おもてなし」を継続することで、そのパワーをまちの活性化へとつなげていきたいと思います。
震湯カフェ内蔵丞 オーナー 内藤陽子さん
世界遺産・石見銀山の一角をなしている温泉津。「瑞風」が温泉津駅に5分間停車することを知ったのは、2017年6月、運行開始の直前でした。私たちは急いで「瑞風」の旗を手づくりし、駅に集まりましたが、初めて見る「瑞風」の麗姿と迫力は、筆舌に尽くしがたいほど魅力的で圧倒されました。興奮と歓声が渦巻く温泉津駅で、乗客やクルーの方々に手を振り続けたのが、「瑞風」との出会いです。そのとき目にした皆様の笑顔の素晴らしさは、今も心に強く刻まれています。
以来、歓迎の気持ちをお伝えしたく、毎回欠かさず温泉津駅で「瑞風」をお迎えしています。いつも「瑞風」に元気をいただいている私たちですが、今回、直接クルーの方々とお話ができ、感動と感謝の一日になりました。JR浜田鉄道部の皆様のお力添えをいただき、温泉津駅を花で飾るプロジェクトが継続できていることもありがたいです。この活動を通して地域がまとまり、魅力が培われるように努めます。
「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」 列車長 大木光徳
まだ外が暗いにも関わらず朝早くから駅の近くで手を振ってくださる方や、立ち寄り観光地へと向かう「瑞風バス」の走る沿道で手を振ってくださる方、駅のホームでお客様を元気に出迎えてくれるかわいいお子様たち…。沿線での「おもてなし」のほんのひとコマですが、そんな光景が目に飛び込んできた瞬間、お客様の歓声が車内に響きわたります。
今回、日頃の心あたたまる「おもてなし」に対する感謝の気持ちをお伝えしたく、島根県の各所に伺いました。「瑞風」のお客様をお出迎えすることに対して、どこへ行っても沿線の皆様の想いはとても熱く、その想いは確実に「瑞風」のお客様に伝わっていることを改めて実感しました。これからも、沿線の皆様の熱い「おもてなし」の心と、「瑞風」のお客様の驚きや感動とをつなぐ“懸け橋”となれるよう、「瑞風」の旅をエスコートしてまいります。
「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」 キッチンクルー 三浦伸敏
「瑞風」に乗務している大半の時間は、車内の厨房で調理作業をしています。キッチンからは、あまり外の様子を見ることはできません。しかし道中、手を振ってくださる皆様の笑顔を拝見することで、あたたかい「おもてなし」を実感。私にとって、皆様と手を振り合えるひとときが、とても楽しみな時間となっていました。
だからこそ、このたび沿線の皆様に日頃の感謝の気持ちを直接お伝えできたことを、本当にうれしく思っています。「お礼訪問」を経て、「これほど多くの方々に応援していただいているんだ」ということを改めて実感するとともに、「この気持ちに応えていかなくてはならない」と強く思いました。「瑞風」での食事を通して、力強く魅力的な西日本沿線の食材をより多くの方々に知っていただけるよう、いっそうの努力を重ねていきます。
「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」 サービスクルー 奥田博子
今回の「お礼訪問」では、沿線の方々の「瑞風」への温かい想いをお伺いし、「瑞風」にご乗車されているお客様がおもてなしに感動をされていることをお伝えする事が出来ました。
特に印象的だったことは温泉津へ訪問した際、皆様と交流したあと、まちを案内していただくことに。初めて知ることがたくさんあり、勉強になったとともに、皆様の地域への熱い想いがひしひしと伝わってきました。
運行開始から1年半が過ぎましたが、沿線の皆様は変わらず素敵な笑顔で、お客様や私たちクルーをお迎えくださいます。早朝に到着する駅や、「瑞風」の立ち寄り観光駅以外の停車駅、そして「瑞風バス」が通る沿道でも、たくさんの方々にお出迎えいただけることに、改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。これからも沿線の皆様と想いをともにし、ご乗車されるお客様に「瑞風」ならではのおもてなしと沿線の魅力発信ができればと思います。
感謝の気持ちをお届けするために各地をまわった「瑞風」のクルーたちでしたが、訪問先に集まってくださった皆様の笑顔により、逆に元気をいただいたとのこと。行く先々でやさしい歓迎を受け、「瑞風」が強く愛されていることを再認識できる機会となりました。島根の人たちと「瑞風」クルーとの心が通い合った今回の「お礼訪問」。ここで生まれた絆がさらに、お客様への「おもてなし」へとつながっていくことでしょう。
次回の「お礼訪問」では、山口県・広島県・岡山県を訪問します。